緊迫し騒然とした機内で、その事を的確に判断出来たのは賞賛に値する。この奇跡的な避難を可能にした要素は数々あるが、手荷物を機内に残し、身一つで避難する事を実行した乗客と客室乗務員の連携がもたらしたものだろう。

それもこれも、大多数の乗客が日本語を解する「日本人」であった事が大きいのではないか。私の経験から言っても、羽田に無事到着したという安堵の中、突然、夕闇の中緊急に脱出し、寒く普段は人のいない滑走路と、その脇の草地に突然放り出された400名近い人々は安堵と当惑の入り混じった心境であった事は想像に難くない。

報道はされていないが、突然広いエリアに散らばった人々を収容し、ターミナルに戻るという困難な作業を完遂した人々の事も忘れてはならない。

第一章 日本の社会・歴史

日本は長い間、四海の海に囲まれ、その海が堀の役割を果たし、守られて来た。一方、その堀が日本を世界から隔て、日本を孤立させる役割も担った。

それが、飛行機や新幹線などの、より早い交通機関や、通信手段の進歩で、近年、日本を取り巻く環境は大きく変わった。その変化は、日本にとって、プラスにもマイナスにも作用した。

日本人の出自

伝言ゲームは、口伝えでは、時間の経過と共に内容が歪められ、忘れ去られる、という事を題材にしたゲームである。

別の言い方をすれば、「口伝え」では、真実は歪められ、物事を正しく伝える方法としては、「文書」とは比較にならない程、難しい事を知る為のゲームではないか。