(2).「カセット テープの音質飛躍」
(後発企業の市場参入策、優れた再生F特性能 確保)
フィリップス(Ph)規格は 手軽なテープ音楽を世界に広めるために特許を無料公開し、JIS規格化して日本に導入されました。目的は達成しましたが、高音域を再生するという観点では、人は高域 20KHzまで聞けると言います。3KHzテストテープでの音質評価では高域音質の劣化状態を評価できないのです。
① 柔らかく薄く傾き易いテープを、しっかりと位置規制した状態で走行させる構造が必要です。紙も筒状にすると位置規制可能。録音消去用小窓穴にテープガイド2個追加しました。
テープの幅方向を規制する位置で、テープの傾き発生も防ぐよう磁性面を軽く接触させたのです。小窓テープガイド2個追加に伴いF特(周波数特性/Frequency Characteristic)が理想波形を描きました。評価テープ18KHzまで A、B面共出力はまったく劣化しません。
② テープに記録された信号をヘッドで読み出力して音楽を再生しますが、その動作でテープがヘッド面を削ります。削る動作は、硬い鉄製磁粉がヘッド面に食い込みながらの移動を意味し、テープとヘッド両者間の相対的移動速度が微小に変動している意味になります。
つまり、20KHz付近の高域音はこの微小振動幅で記録音階前後の音程も混入して再生するのです。テープに記録された音程を正しく再生するには、テープ/ヘッド間の相対的微振動発生を防ぐ設計配慮が必要です。
1. ヘッド固定穴両端をネジ固定後接着し、ヘッド自体の微小振動発生を減少させました。(他社は皆1カ所を固定、他の1カ所を上下に微小移動させてアジマス調整する構造を採用したことにより、固定部が1カ所になり、ヘッド固定能力が非常に劣ります)
2. B社品証役員解任事件(第一部 2章-6その2 参照)を発端に、1995年A社でヘッド表面を硬い金属で覆いテープ磁粉が刺さらずに滑る 厚さ0.1μのコーティングヘッドを開発。60℃環境下でテープが75日間連続走行しても発熱せず、まったく削れません。
テープ/ヘッド間の相対的微振動発生が回避されました。対策導入に伴い「ボーカルは臨場感が出る」と素晴らしい評価が報告されました。優れた音質確保は車所有者を満足させます。