「それとさ。人間の仕事は、もうAIとの協働は避けて通れないよね。そいつは、人間より優秀に仕事をこなすようになるの?」
AIには、アウトプットの真偽、偏向、著作権、セキュリティ、そもそものエネルギー負荷……さまざまな問題が山積みしている。だからといって活用を進めず、その可能性にフタをするという判断は、もはや現実的ではないだろう。
インターネットも、初期にはPTAなどに大反発を受けながら社会に浸透し、その進化と共に、モラルやルールがいまでも改訂され続けている。テクノロジーに対する期待と不安の追いかけっこが、また加速したのだ。
ジョージがゆっくり言葉を考えながら、ネイビーに話しかける。
「AIは、まず、ものすごいスピードでオペレーション業務を支えてこなすようになるでしょう。浸透してからしばらくは、〈作業の効率が上がる〉という認識が強いのかもしれません。たとえば、データ処理、書類作成、タスク管理……フローを任せられるみたいな」
「そうだね。まずはDXの流れで浸透する感じかな。相当、便利になるだろうね。でも……そうか。便利なひとのことを、優秀とは言わないよな……言う?」
「AIは、人間を超えて大量の情報を扱えます。そういう意味では、優秀なんでしょうか?」
「人間より、うまいロジックや編集で返してくるところも、あるよな」
YOさんの職人魂が、声をあげる。
「なんつうか……頭にいっぱい詰め込んで、整理して出してくるだけじゃ、そいつ、つまんねえな」
「そうなんです! 問題は、その先ですよね。AIが情報をさまざまに組み合わせ、その情報編集の中には、人間がなかなか思いつかない着想も入ってくる。そこに創造性を感じることもあるでしょう。
ボクは、AIと一緒に話しているうちに、とんでもないWOW!っていう、サプライズが生まれることを期待しています。AIは業務処理ツールじゃなくて、クリエイティブ・パートナーです」