侵害受容体(イオンチャネル)が刺激をとらえると、神経細胞外の陽イオンが細胞内に流入し、一定限度を超えると「活動電位」が生じます。活動電位は隣(中枢側)のイオンチャネルを開き、陽イオンが流入します。
神経伝導とは活動電位の〝点〟が末梢から中枢に向かってとびとびに伝播していく現象です。これは水路に石を落としたときに波が遠方に伝わっていく様子と似ています〔図1〕。手足の小手術のときに用いる「局所麻酔薬」は神経線維上に並ぶイオンチャネルを閉じることにより、神経伝導を遮断します。
【ポイント】
・感覚神経線維は体組織《事業所》がとらえた警報・注意報を電気信号として脊髄《支社》に伝える《通信ケーブル》です。
・侵害受容器で発生した活動電位はとびとびに感覚神経線維を伝わっていきます。
・感覚神経線維が数千本束ねられたものが肉眼で見える末梢神経です。
脊髄〜信号の調整〜
感覚受容器がつくった侵害感覚の電気信号は、背骨のなかにある「脊髄」に伝えられます。脊髄は、腰あたりまで伸びた〝脳の尻尾〟です。ちなみに、腰《事業所》や下肢《事業所》を担当している脊髄《支社》は胸椎と腰椎の境あたりに位置しています。
体の感覚受容器から発生した電気信号は脊髄に存在する「次の神経細胞」に順次バトンタッチされていきます。ふたつの神経細胞の隙間は「シナプス」といい、神経を伝わる情報の中継点です。脳と脊髄を「中枢神経」といいますが、中枢神経はいわば神経細胞、神経線維、シナプスの塊です〔図2〕。