同じように、健斗もまた今までとは違う目で友達を見ていた。実際、他小学校から来た色んなタイプの子との関わりの中でも晃は目立っていた。その晃の華やかさは面白くなかった。健斗にしてみれば、そういう晃ならそういう晃のままの姿を塾でも見せてくれた方がよほど楽だと思う。塾での晃には輝きはなく、無理して背伸びをしているように見える。

正直、強い者に従うのは楽っちゃ楽なのだ。逆に何の輝きもなく、自分に気を遣っている相手に対して自制心のみで従ったり、ついていかなきゃならないことの方がキツイ。だからといって、急に晃の成績が上がってきたりしたらどれほど嫌な気分になるだろう。そこへいくと、悟は憎めない仲間だった。塾でも学校と変わらないし、変にかっこつけたり、背伸びをしないところが一緒にいて楽だった。

正直、悟は晃がいない時の方がより身近で親しみを感じる。

健斗は中学生になってから、身体の成長や精神的な成長のバランスから、三人の関係にバラツキを感じていた。意識してかどうかわからないが、それぞれが互いにちょっと気を遣い合っていると思った。今までの長い友情なんてものはちょっとしたことをきっかけに大きく変わりそうな予感がする。

自分の心の中には今までにない横っ風が時折強く吹いてきて、激しい口調で不満をぶちまけたくなることもあったが、そんな勇気があるわけでもなく、なるべく物事に白黒つけないよう、平穏を保つことに気をつけていた。

毎朝鏡を見る。以前には気にならなかった喉仏が見える。肩幅が広くなったような気がする。身体中の組織細胞が急速に変化していく中で、今までの人間関係も変化していくようだった。大人になっていく期待。楽しみ、好奇心。いや、どうだろう、不安もある。気持ちも身体も人間関係もどんどん変わっていくのは、嫌なわけじゃないのに、理由もなくちょっと苛ついていた。

 

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