落としちゃった 2013年3月19日 クッキー6才0か月

トリミングの帰り、クッキーを抱いていたトウサンが、バタつく彼女を道路に落としてしまいました。

「キャン キャン キャン!! 痛い 痛い 痛い!!」

すぐに、かかりつけの病院へ連れて行き、レントゲンを撮った結果、素人目にもわかる右後ろの“股関節脱臼”でした。日曜日を挟んだ週明けに、手技で関節をはめる処置をやっていただきましたが、2時間かけて2回入れたけれど、レントゲンを撮る間にすぐに外れてしまうとのこと。

結局、大学病院で手術など処置してもらった方がよいでしょう、ということになり、その夜は、そのまま病院に入院。翌日、先生が近くの大学病院に電話してくださったけれど、予約はなんとひと月先。

(ひと月も待たなければならないんだ……ひと月もほっておいて大丈夫なのかしら? 痛々しい姿の彼女を、どうやって1か月も世話したらいいんだろう)

足への負担を和らげるために、ソファーへ上がるステップを用意したり、いろいろと工夫をしました。夜、彼女が寝るカアサンの布団の上は高すぎるので、彼女のトイレに近いリビングの床暖房を軽くつけて、薄いマットを敷き、毛布2枚という軽装で、1か月間をクッキーと過ごしました。

鎮痛剤を数日飲んで痛みの治まったクッキー自身には、ケガの認識は全くないのでしょう。以前と同じように、走り、跳ぶように行動しようとして、ヒヤヒヤ。走るときは、右足を上げてケンケン。歩くときは、右足を軽く床につけて、バランスをとる様子。

折角用意したステップなど無視して、ステップのないところから、ソファーに飛び乗ったり、飛び降りたり。ブラブラの右足が使えなくて滑り落ちたり。

指折り数えて、やっと診察日。翌日、傷んだ骨頭を切除して、擬関節の形成を誘導する手術を受けました。アスリート生命はもう断たれた、と覚悟したけど、数か月すれば、少なくとも普通の状態には戻れるらしい。

手術が終わった夕方、ICUのケージの中で、クッキーはまだ眠っていました。翌日の遅い午後、いつもの平日の夕食(ササミ+かぼちゃ+ミルク)を持って会いに行くと、麻酔から覚めていた彼女は、股関節を失っているのに、いきなり二足で立ち上がって、というより飛び上がって、“病人とは思えない”大興奮で飛びついてきました。

看護師さんが「缶詰などを与えても、まだ何も食べないので……」とおっしゃる。早速、持参したごはんを与えると、ぺろりと食べました。手術の前日からまる2日だから、空腹だったでしょうね。

翌金曜日から日曜日までは面会できないので、ごはんのことも心配だったけれど、電話で聞くと、この間の看護師さんがササミとかぼちゃのごはんを用意してくれて、クッキーが食べている、とのこと。手のかかるワンコなのに、本当にありがとう。

本連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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