介在細胞は末梢(皮膚の触覚)から上行してきた活動電位により、あるいは脳幹から下行してきた活動電位によって放出されるセロトニン( S )とノルアドレナリン(NA)により興奮する。つまり皮膚刺激、セロトニン、ノルアドレナリンはシナプスにおける信号の伝達を抑制する。抑制機能は上行する信号を弱めるブレーキのようなものである。

シナプスでは体組織の受容体に発した活動電位が促進または抑制される。つまり脊髄は上行する侵害感覚を調整する機能をもつ。

神経障害性疼痛治療薬の一種であるプレガバリンなどはカルシウムチャネルを閉じ、 カルシウムの細胞内への流入を阻止する。SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)は介在神経細胞の抑制機能を高める。

オピオイドは感覚神経線維のさまざまな点に作用し、陽イオン(カリウムイオン、+ )を細胞外に移動させることにより活動電位の発生を抑制する。

図2:脊髄・情動

 


1 神経の病気に関する臨床研究分野は「神経学(Neurology)」、神経と脳のしくみに関する基礎研究分野は「神経科学(Neuroscience)」という。本書ではこの表現を踏襲した。疼痛科学という用語は一般的ではない。「痛みの神経科学(PainNeuroscience)」という言葉は使われている。

次回更新は7月18日(金)、8時の予定です。

 

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