そして謝恩パーティー当日。

屈む作業が多くて一番嫌だと思っていた受付業務もなんとか乗り越えられた。くるみも隣で同じ作業をしていた女性も、立ちっぱなしで疲れてしまい、受付に置かれていたパイプイスに腰を下ろす。

一緒に受付をしていたのは隣の部署の女の子で、年齢も近く、何度かくるみも話したこともある。

「受付、お疲れさまでした」

「水瀬さんもお疲れさまでした。もう社長の思いつきでこんなの大変ですよね~」

「ですね。ここからパーティー本番だと思うともう……」

「確かに。私、今日アレの日で、しかも2日目ですよ? 本当、腰が痛い……」

「それは最悪ですね……。お気持ちお察しします」

「私、ちょっとトイレに行きたいんですけど──」

「すみません、受付の方」

「はい!」

急に声をかけられて、くるみと女性はびっくりして立ち上がる。

「ここ、もういいから1人社長のエスコートに行ってくれる? これから副社長の挨拶の後、社長からの挨拶もあるから。控室から舞台上まで案内を頼みたいんだけど」

「あ、じゃあ私が行きますよ」

生理で大変だという彼女を行かせるわけにもいかない。くるみはパッドのずれを直しつつ、控室へと向かった。

次回更新は7月24日(木)、11時の予定です。

 

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