「さあ、準備はよいか。行くぞ、結迦」
「はい」
一瞬、結迦は眩暈のような感覚に陥りながら、その光の環へと突入した。決して離れることのないよう、手をつないだふたりは、環の中の空間に身を委ねた。ほんの数秒の後、一面緑の美しい景色の中に降り立っていた。
ガラスでできた大きなドームの空間の中に、ふたりはいた。
「ここは、いったいどこなのでしょう?」
「ふむ。おそらく……地下都市ではないのか」
「え ? 地球の地底世界ってことですか? 景色はすばらしいですが、人の姿が見えませんね」
「そのようだな」
周りを見渡してみると、スタンド式の大きな画面があることに気づく。
結迦がその画面に近づくと、「Welcome」とだけ映し出された。
「これは、なんでしょうね」
結迦がそうつぶやくと、
「コレハ ナンデショウネ。ニホンゴデ OKデスカ?」なんと、画面から声がしたのである。
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