東京の電車の乗り換えは難しいというが、東京人からしてみたら、大阪の電車の乗り換えも難しい。頼りになるマサミ様様である。
ライブ会場に到着後、お世話になっている渋谷のDJ BARエッジエンドの店主エンドウさんと、高校時代にPENPALSと共に聴いていた、babamaniaのユージンさんと会った。一時退院して見にきた旨を伝えたら、さすが最高のファンだなと言ってもらえたことに嬉しくなり、ビールが進んだ。
肝心のライブは最高だった。PENPALSのファーストアルバムとセカンドアルバムからの初期の曲を中心というのが粋だった。
初めて存在を知った『TELL ME WHY』
聴いた瞬間に打ちのめされて、私のロックへの扉を開けてくれた『I WANNA KNOW』
曲が流れる度に当時を思い出し、飛び跳ねたが、私の身体はもう、ジャンプすることさえ出来ずにいた。心の中でダイブしていた。
後方から見るPENPALSも最高だと思いながらも、前方で楽しみたい思いを押し殺すかのように、震える右腕を突き上げる。
数万人の中で多分私だけであろう。突き上げた右腕にはフェスのリストバンドと、入院患者のリストバンドが重なっている。
45分プラス交通費で4万円弱。超高級風俗店のような料金。その価値はあった。
大阪へのPENPALS復活ライブからとんぼ返りした私は、月曜日には入院先のベッドにいた。
あっ、ライブにかかった料金だ。
夕方、検査結果がどうやら出るようで、私は内心ホッとしていた「家族を呼ぶか?」の質問に、私は「NO」と返答した。多分、自分のことは自分で考えたかったんだろう。ある意味、肝は据わっていたし、誰にも、診断された段階で心配されたくなかった。
次回更新は7月16日(水)、20時の予定です。
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