人前に出るのが好きなタイプだ。今でも覚えているのは、私が小学校低学年の時に学芸会で演じた女性役。
覚えているとは言ったが、何の物語だったかは覚えてなくて、確か、世界の架空の国の人達が、我が国の自慢を品評する内容だったような気がする。
そこで私は何故か、女性役を演じていた。ザマス系(お金持ち)の国の女性役だった。母親が作った毛あみのカツラに、姉のブラウスとスカートを着て舞台に立ち、オネエ言葉を発し見事に演じきった。その時の客席から寄せられた笑いと拍手が快感になったのだろう、それを境に人前に出ることが好きになっていった。
が、しかし、高学年時での演劇、走れメロスではオーディションに落ち、結局メロスの妹の婿。セリフは一言しかなく、全くもって地味な役を務めることになりそれ以降オーディションなるものが苦手になった。
時は流れ、高校のサッカー部に入部していた私は、同級生のユウジと、部内でのお笑い担当のポジションにいた。合宿中に先輩部員が「面白いことやれよ」という、どこにでもある掟的な習慣で、ユウジの一発芸がことごとくウケていた。
幼少期からお笑い芸人が大好きで、人を笑わせるのが好きだった私は、それを間近に観ていて、ユウジに「コンビを組まないか」と誘ってみた。
コンビ名は『みずぶくれ』
当時、足に水ぶくれが出来た部員からとった名だった。まあ、高校生が思いつくコンビ名なんてそんなものだ。合宿中や遠征先、学園祭などで私が作ったショートコントを、二人で披露するだけの活動だったが、高3の秋に部活を引退した後は、本格的に動き出す。
学校が終わった後や休日になると、ハチ公前や代々木公園、新宿東口や池袋西口公園などで、ストリートライブに明け暮れる日々を送っていた。ネタは大したことはないながらも、行動することにより、色々な人達と出会うことになる。