俳句・短歌 歴史・地理 歌集 日本列島 2020.09.03 歌集「秋津島逍遥」より三首 歌集 秋津島逍遥 【第14回】 松下 正樹 “忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す” ――日本の面白さに旅装を解く暇もない 最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。 尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 舷側に近よる海豹ヒト族の 女・男のちがひを観ては愉しむ 夏さえも納沙布は冷ゆストーブを 点けしゅんしゅんと湯のたぎりをり 日の昇るきらめく海に歯舞の 島々は浮かぶやうに散らばる
小説 『大阪弁で読む『変身』[注目連載ピックアップ]』 【第2回】 作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰 【カフカの名作を大阪弁で!?】「グレゴール!まだ家におったんかいな。 どないしてん?」名前を呼ばれて答える自分の声にギョッ!? それに列車に追いついたところで社長の大目玉は避けられん。なんせ使用人が五時の列車に合わせて待っとってグレゴールの遅刻をとうにチクっとるわけやから。こいつは社長のお気に入りやった、性根も頭もないくせに。それか、病気や言うたらどないか? いやいやこれほどカッコ悪うて怪しい言いわけもなかろう、グレゴールは五年勤める間病気になったためしがない。社長が健康保険組合の医者を連れて来て、両親をグータラ息子のこ…
小説 『シウカラ』 【第6回】 山田 光美 歴史には、表と裏がある。殺された鶴亀堂主人が遺したメッセージが示す人物は「古事記」の編纂者だった。その意味は...... 数日後、光一と小太郎、啓二の三人は例の和菓子屋のホームページとeコマースのシステム構築の打ち合わせを終え、いつものように行きつけの「おみち」で飲んでいた。「しおりが挟んであったあのページに意味があるんじゃないですかね」「オレもそう思って、帰ってからそのページを読み直してみた」「なにかわかりましたか?」「ああ、とくに関連するような内容は書かれていなかった。あのページの内容が直接守屋さんの父親の死に…