俳句・短歌 歴史・地理 歌集 歴史 2020.09.02 歌集「風音」より三首 歌集 風音 【第5回】 松下 正樹 何気ない日常にある幸せを探しに。 優しい風を運ぶ短歌集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 蝶が舞う蜂がぶんぶんすれ違う 春らんまんの菜の花の庭 日もすがら春の嵐に湧きたちて 揉みあふ若葉 里山ゆする 吹きとほす一日無頼の春嵐 マンション・ベランダに干し物見えず
小説 『「本当の自分」殺人事件[注目連載ピックアップ]』 【第9回】 水木 三甫 硬直する体に構わず、若い桃のような頬に唇を当てる。首筋からさらに下へ、新鮮な匂い。しがみついていた力は抜け… 【前回の記事を読む】「好きな店でいいよ」と絶対に言わない。行く店は決めてくれるし、選ぶ店のセンスもいい。浮き彫りになる、夫の物足りなさ。高校を卒業すると、希代美はすぐに故郷を捨てた。都内の小さな問屋にどうにか事務職を得た。希代美は一生懸命働いた。会社とアパートを行き来するだけの生活。とにかくお金を貯めたかった。一人で生きていくためにはお金を貯めなければいけないという強迫観念があった。預金通帳の残…
小説 『夫 失格[注目連載ピックアップ]』 【第5回】 時亘 一肇 テレビを消して黙々と食事する夫。食事が済んだら「俺は犬か! 俺はゴミか!」と、また急に訳の分からないことを怒鳴り始めた 【前回記事を読む】逆ギレ浮気夫に「いっそのこと、そのお相手に代わってもらいたい。私を自由にしてほしい」と打ち明けた。すると夫は一言…昨夜、寝室から布団を運び出そうとした時、夫が「上で寝ないのか?」と言ったので、黙って夫の顔を見返すと、「すみません」と。今は静かに言ってくれているが、一つスイッチが入れば、間違いなく、舌打ちしたり、怒鳴り散らしたり……ということになる。それを思うと、(やっぱり戻った…