床屋医者の誕生
身体内部の病気を対象とする聖職者などから進化した「長衣の医者(図2-1)」と、もっぱらからだの外側の怪我などの処置を担当する「職人(治療士)、(図2-2)」との分化、そして大きな身分差については、前章でお話ししました。中世においても、それは全く改善されていません。
血や汚物に触れる手作業は、身分が高い人の権威を損ねます。ですから、頻繁に行われる瀉血も、実際に作業をするのは卑しい身分の職人たちで、「お医者さま」は指示を下すだけです。

2-1 長衣の医者(内科医)

2-2 床屋医者の仕事場 (手前では足の治療、奥では歯の治療)