二、カイトの意味
カイトの意味については、以前より多くの地名研究者により調査研究がなされていますが、残念ながら確かな定説は判明していないようです。
かの柳田国男は『地名の研究』の中で、「『郷土研究』に必ず研究せらるべくして、ついにこれという説にも接しなかったのは垣内(かいと)の問題である。
村の歴史を調べる人々にとっては遺憾なことであるが、つまりそれだけに込み入った概念を得にくい事柄なれば仕方がない」と記しています。
さらに「カイトの本来の意味は、ある有力なる一人の占有者の分内に、その被護者が許されて住み、かつ耕した土地であるとも書いています。
ほかの研究者の説を拾ってみると、
(1)将来耕地にすることを予定して囲った土地。
(2)開墾地のこと。
(3)生産地として計画された区画が、やがて耕地や居住地になった土地。
(4)組や屋敷。
(5)土豪の垣の内。および小集落。
(6)洞とほぼ同じ意味で中世の新しい開墾地。
(7)山間の小平地。
(8)出村・分郷・枝村等の集落。
(9)まつろわぬ民を囲って管理した場所。
等々であり、およその面積(古代条里制の一坪、約一ヘクタール)、地形、位置等から推定された意味であり、どの説もカイト地名を構成する一部であることには相違無いとも思われます。