【前回記事を読む】ロシアバレエ団の花形ダンサーを描いた映画『ニジンスキー』。主要な演目も再現されており、バレエ団内部の人間関係も赤裸々に…
序章 目に付く鱗
イギリスの食事
イギリス、端的に言うのも恐縮だが食事がまずい。イギリスを廻っていて美味しいものといえばチリドッグくらいか。
もちろん中国人の経営する中華料理店、イタリア人が経営するイタメシ店などはそれ相応の味がする。
ただ街中のどこにでもあるレストランなどに入る時は、日本人ならそれ相応の覚悟が必要だ。一口で言うと素材そのものの味しかしない。
煮たり焼いたり揚げたりするだけなのだ。名物ローストビーフでも、オーブンで塩、コショウをした肉を焼き、その肉汁にこれまた塩やコショウを振っただけだ。
結果として美味しいだけで、工夫して美味しいわけではない。多分。イギリス料理とは全体にこんなものだが、それでもスコットランドに行ったらほんの少しだがマシに感じた。
実は二〇一五年、テニスのデビス(デイヴィス)カップワールドグループ第一戦を観にヴァンクーヴァーに行ったことがある。
なにしろ日本テニス界に百年に一人現れるか否かの天才・錦織圭の試合を、少なくとも二試合は確実に生で観られるのだ。
ダブルスに出場すれば三試合も観られる。残念ながらダブルスは出場しなかった。それでも生で錦織圭の試合が確実に観られる魅力から、初めてのカナダ行きを決行した。
観光旅行など一切せず、ただ三日間会場のダグ・ミッチェル・サンダーバード・スポーツセンター(ブリティッシュコロンビア大学構内)とホテルを往復した。
ご存じのようにテニスの試合は時間がかかるので、市内観光の時間がなかったのも事実だ。朝はホテルのインターナショナルブレックファースト、昼食は試合会場のインターナショナルファーストフードでそれなりだった。