【前回の記事を読む】出所したばかりの俺に「妊娠したかも…」と泣く彼女。まだ17歳だが、駆け落ちしてでも働いて育てる覚悟を決めた。だが…
新生活 結婚
勝也はまだ17歳。今思うと、この頃から勝也の人生はおかしくなり始めたのだと思う。
あれだけ反対していた紗香の母親は手のひらを返したように優しくなり、考えられないくらい良くしてくれるようになった。
色の黒いおじさんも毎週日曜日には焼き肉や高級中華料理など外食に連れていってくれて、勝也や紗香の事を、まるで腫物に触るかのように扱ってくれた。
この時の勝也は少年鑑別所から出所したばかりだったが、月に50万円、多い月には80万を超える収入があり、出所前からの貯金が150万円程あったので、職場のリーダーのおっちゃんに色々とアドバイスを貰って、不動産屋さんを回り自分のお金でハイツを借りた。
そして、結婚生活がスタート。ある日、仕事から帰ると部屋には電化製品やタンスなどが一式揃っていた。
紗香に聞くと、江美が買ってくれたと言うのだ。勝也は感情を抑えきれず、ブチ切れた。勝也は人に世話になるのが苦手な性格で、収入もあり、自分達の事は自分でするべきだと思っていたからだ。
「お母さんには毎月10万ずつでも返していけ」
この日、一緒に暮らしてから初めての大喧嘩をした。
勝也の母の弓子はお金がなく、自分が食べていくのに必死だったので、当然何もできない。弓子はいつも「お母さん何もできないけど……すまんな」と言っていた。
それに引き替え紗香の母親の江美は喫茶店を経営していた当時からゲーム機などの収入で、相当儲けていたらしく、お金持ちだった。