古き良き昭和時代、喫茶店は競馬やマージャンなどの賭博ゲームを置いており、かなりの収益があった。江美は、段ボール箱がお札の山だったと言っていた。
指輪や毛皮のコートなど数百万円の買い物をしていた。勝也には価値は分からなかったが凄い事だけは理解していた。
そして、江美はスナックをしてからも美人ママで接客上手、お店は大繁盛していた。勝也も一緒に住んでいたマンションの1階がお店だったので、お客さんの出入りを毎日見ていたからよく分かっていた。
しかし勝也は、いくら江美がお金持ちだからと言っても、世話になりたくなかった。変なところでプライドが高かった。
しかし江美には、この頃からお金の力で圧力をかけられていたのだろう。そして、異常なまでの可愛がりで、勝也は次第に何も言えなくなっていった。
二人での生活がスタートして直ぐに紗香の妹が泊まりに来るようになった。勝也は嫌だったが何も言えない。その妹は当時中学生だったが学校には行っていなかった。江美も、行かなくて良いと言っていたようだ。
勝也はこの頃には仕事も増やし、家に帰っても直ぐに寝て、深夜1時や2時に起きて仕事に出ていたので、紗香も寂しかったのだろう。妹の事ではよく喧嘩もしていたが、小さい頃から知っていたので我慢する事ができた。