【前回の記事を読む】17歳が直面する新婚生活。義母から毎月10万の仕送りに義妹の入り浸り。今思うと、この頃から人生がおかしくなり始めた…

新生活 結婚

現在の若者はゆとり世代で仕方ないかと思うが、当時の18歳でも同じようにできる人間は中々居なかっただろう。現に、勝也の同級生や同年代の知り合いは無職だったり、中々仕事が続かなかったり、ヤクザになっている友達も数人居た。

これからは、色々と大変になるという事で、江美の居るマンションに引っ越す事になった。紗香の提案だったが、弓子も同じマンションだったので勝也も嬉しく思い、受け入れた。

勝也にとっては、これが間違いの始まりだった。仕事から帰ると毎日のように紗香の妹が居る。確かに助かる事もあるが、勝也の子供の事をペットのように可愛がっていた。子供の世話や家の手伝いをするというより、遊びに来ているようにしか思えない。仕事でクタクタに疲れて帰っても、妹に気を使う毎日で、自分の家ではなく、まるで紗香の実家に帰ったような気持ちになっていた。

確かに、紗香や妹とは小さい頃からの幼馴染で仲は良かったが、これが生活の一部になると良い日もあれば嫌な日もある。そして子供の世話を独占していたので、勝也は他人のようだった。子供はいつも居る妹達に懐いている。

紗香は喧嘩になると勝也にいつも、子供の面倒をほとんど見ていなかったと言うが、勝也から言わせると子供を取られていたように感じていた。一般的な親なら自分の娘が新婚夫婦の家に入り浸っていたら叱るであろう。

この頃から勝也は帰宅すると直ぐに風呂に入り、また直ぐに出かけるようになってしまった。色の黒いおじさんには3人の息子が居て、仕事では人を雇い独立し、親方をしていた。勝也は、おじさんの現場がない時には息子の現場の応援によく行っており、勝也は息子の所で働いている傍心(ナンバー2)とも仲良くなった。

居酒屋やスナックで一緒にお酒を飲むようになり、仲が良くなると仕事の事も何でも教えてくれた。11歳も年上の先輩だったが結婚しておらす、独身だったので毎日のように誘われていた。

勝也が仕事から帰り風呂に入っている間、紗香は風呂の外でガミガミと文句を言い続けていた。それもそのはず、風呂から出ると直ぐに出かけてしまうからだ。入浴時にしか言いたい事が言えなかったのだ。

言い訳にしかならないが、妹達が来ていなければ勝也はそれ程出かける事もなかっただろう。もちろん紗香一人では子供の面倒も見きれない、勝也も育児をしていただろう。勝也は昔から子供好きで、無責任な性格ではないからだ。我が子は目の中に入れても痛くないという感情も凄く理解していた。