【前回の記事を読む】犯人は被害者と親しい人物…?セキュリティーの厳重な高級マンションに侵入した方法とは

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「事件前後の時間帯のことをもう少し詳しく調べる必要がありまして、今日、飯島さんにいま一度ご協力いただきたくお越しいただきました。お忙しい中、時間をお取りいただきありがとうございます。

さて、前回お聞きしたところでは、これまでも時々国枝さんの部屋に行かれていたということでしたが、一月六日は、夕方六時前、ええと、五時四十二分にマンションに入り、八時四十八分に出られていますので、およそ三時間国枝さんの部屋に滞在されていたわけですよね。いつもこれくらいおられたんですか?」

「はい。もう少し長いことやもちろん短いこともありますが、だいたいこれくらいでした」

「三時間なら結構ありますが、いつも何をしていたんですか?」

草薙は、いきなり本題に入った。

「えっ。あ、はい。だいたいは、簡単な料理を作って一緒に夕食を食べました」

「それだけだと、かかっても二時間くらいなものではないでしょうか」

「先生はワインがお好きで、ゆっくりとワインを飲みながらいろいろお話をしてくれますので、結構時間がかかります」

飯島は、質問の意図が分からないというふうに戸惑った様子を見せた。

「それでも、三時間の食事は長いですね」

「食事を作る時間もありますし、片付ける時間も。それにさっき言ったように食事の途中、昔から撮ってある先生のファッションショーのビデオを見ながら、デザインのことを話したり教えたりしてもらっていましたから」

「一月六日も、そうでしたか?」

「はい、だいたいそんな感じでした」

「でも、その日、食事は買ってきたもので済ませていて、そんなに時間はかからなかったんじゃないですか?」

事件現場のキッチンのゴミ箱からは、一月六日の日付がスタンプされた西城公園駅前の有名なデリカテッセンの空き箱が見つかっていた。