街中に出ると全てが変わったように見える。肌で感じる印象がいつもと違う。暫くの間家を留守にして久しぶりに帰って来た感じがするのは気のせいだろうか。

何かが違うように感じる。少し前に身をおいていた時間と空間の狭間に感化され身体が今の世界に馴染めないような違和感を持った。英良はこの世界に馴染むため本屋へ入り店内をぶらりと歩いた。

雑誌を手に取り新刊を見て回った。何も買わずにただ時間を潰した。三十分ほどで本屋を出てゆっくりと歩きいつものコンビニに入り缶ビール二本と惣菜を買って帰宅した。翌日英良は駅前で高齢者の女性客を乗せた。

その客は市内の総合病院まで行って欲しいと言った。その病院はかけるが入院していたあの病院だった。

「雨が降らなくて良かったですね。午後からは天気が悪くなりそうですよ」

「そうですか。僕らは雨が降っても車の中ですから雨は気にならないです。それより雨が降ってくれるとお客さんが増えるので、むしろ助かります」

「そうなんですね」

「はい、雨の日には僕はなるべく遠くへ行くお客さんを乗せようと駅前とかデパートの前に停まっています」

英良は時々バックミラーをチラ見しながら話した。