これ以外にも数えきれないほどの、補完代替療法があると思います。補完代替療法については、米国では日本よりずっと前から研究を行っており、いろいろなデータも蓄積されています。
米国で代替治療研究の中心となっている米国国立補完代替医療センターでは“補完代替医療はがんを予防したり、治癒することは証明されていない、がんの症状や治療の副作用を和らげる助けになるかもしれない、ある補完代替療法は一般的抗がん剤治療の効果を弱めてしまう可能性がある”としています注1)。
これらの治療は非常に高額なものが多いと思います。日本における補完代替療法の利用実態に関する研究注2)では、がん患者さんの45%が一種類以上の補完代替療法を利用し、その利用にあたって、平均して月に5万700円を出費しているとの報告があります。
“藁にもすがる思い”の補完代替療法
患者さんとご家族は“藁にもすがる思いで”補完代替療法に頼ろうします。ある患者さんのご主人が音響免疫チェアなるものを購入して病室に持ってきたことがありました。一日3時間座っていればがんが治る」と言われたと。
その時にモーツァルトの曲を聞くと効果倍増との説明。ずいぶん前に胎教にモーツァルトが良いとブームになったことを思い出しました。患者さんの夫が内緒で言うには「定価は300万円だけれど、値切って150万円で購入した。そのことは妻には秘密」と。結局、椅子が硬すぎて患者さんは30分も座っていることができず、まもなく亡くなりました。