B医師は少し緊張しているかに見えたが、本来、こういうお顔なのかもしれない。髭が濃く、目は鋭い。しかし悪い感じの顔ではない。

私から、「癒着」対処についての質問があると思ったかもしれない。当然想定して、返答も準備していたはずである。しかし私たち夫婦はそのことについて、何も触れなかった。

疑問はあった。11月9日退院の予定が前日になって不調を来し、13日迄延びた。これは明らかに“予兆”ではなかったか。あのときに、もっと別な対処はなかったのか。

13日に退院したが5日後の18日に激しい苦しみが襲い、再入院した。そのときにイレウスの発症と判定された。そしてイレウス管装着等の処置により改善、26日の退院が予定されていた。その前日25日に、癒着剥離のための緊急手術を行ったのである。

18日から24日迄の入院中の処置は、適切であったのか。そもそも癒着そのものを防げなかったのか。これらの疑問については、完璧な「回答マニュアル」があるはずである。その回答に対して、私たちは納得するしかないであろう。

そもそも手術前の承諾書に、今回起こったことはすべて、起こり得る可能性として書かれている。B医師の説明は次の通りであった。

がん部位の大きさ5.5cm×5.5cm深さT4a(SE)ステージⅢB←これは5年後の生存率60%というレベルのようである。リンパ節は9本切除した。他の臓器への転移は発見されなかった。発見されなかったから「ない」ということではない。

微少な「腫」はPET-CTといえども見付けられない。化学療法(抗がん剤)は患者さんの選択である。受けない選択もある(副作用の説明)。結果として良子は6カ月間の化学療法を選択した。

その後、化学療法センターで担当看護師から1時間ほど説明を受けた。起こり得る可能性はオソロシイものである。

21日の月曜日からスタートする。科学医療センターでの会話の中で、良子は25日に駆け込んで癒着剥離の手術を受けたという。私は、そうではなく、癒着剥離手術を受けた日は、既に入院中だったのだ、と言った。

18日から25日の8日間が、とんでいるのである。イレウス管による治療は、おそろしく苦しいものであったらしい。その間が、良子の記憶から、消えていた。

次回更新は4月30日(水)、20時の予定です。

 

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