私達二人は将来像なるものを話し合ったり、調整したり激論を交わしたり等納得しながら共生してきた経験の無い数十年で有ったことに気付く。私たちは各々本当の姿を知らなかったのかも知れない。

巨大化していっている二人の違い。このまま放置しておくことは出来ないであろうと気付いていた。

ここに至って二人の間に起きた初めての大問題。何を大袈裟なと思うかも知れないが、私は人生を賭けていた。

一途に独走している女の側に原因があることはわかっている。しかしこの道に進みたい私の選択は困難を伴うけれども将来的にははるかにたけている。

夫は多分かけずり回ってしまう女房の姿がいやだったのかも知れない。別荘の使い道を巡って歩み寄れない二人。

何てつまらないことで争っているの、と人は思うかも知れない。自分の考えている道こそ最善であると信じている。

打開策も無いまま困り果てている日々を送っていた。

そのような折に、親しい植木屋さんから突然の電話。経年二十から三十年程の「花の木」が営林署に入ったという情報であった。

それは今の我が家の状況において願ってもない朗報であった。行き詰っているこの二人に風穴を開けてくれることになるのか。もう迷うこと無く即刻倶楽部で引き取ることに話がまとまった。