「花の木」はアメリカの北半球で化石で見つかってはいるが、非常にめずらしく現在日本においては東濃地方そして愛知県や長野県の一部にのみ生育している天然記念木である。

ハナカエデという別名があり水が絶えずにあるところを好み、その木を余り目にすることは無い。

これは突破口なのか? 数日後ユサユサと十メートル以上にも及ぶ木々が到着。夫の様子が激変していくようにも思えたが多分一時的なことであろう。

「花の木」の来訪が夫の心を変える。信じ難くもあった。その様に簡単な事柄で事態が好転していく等という甘いものではないという疑いの方が大きかった。きっと難航するであろう。

「花の木」はすべてを帳消しにしてくれる魔力を秘めているのであろうか。しかしその疑問は信じ難い方向に進みそうな気配に変わることになる。この事柄は私にとっても大変意外で有った。

シンボルツリーとしても相応しい樹形のもの等、当初二本根切りをされた状態の大木は活着するのに四、五年を要するという助言を受けた。

夫の中にこの高原の別荘への夢が描けてきたのであろうか。日を経るにつれて私が賛同しかねていたピンポンハウス、あのゲームルーム計画も影をひそめるようになっていた。

幸運な女。これはクリアーなのか? 木は生涯に亘り夫の支えとなってくれるのか。それでも未だ心のどこかで疑心暗鬼な思いは捨て切れず、植樹が終われば又気持ちが再燃するであろうと予測していた。

別荘で過ごす週末の楽しみを簡単にはあきらめないであろう。何も持ち合わせていない妻に何かを背負って苦労することは無いだろうという考え方であった夫。

私も暫くの間心の休息が必要であったのかも知れない。闘争の日々は大きく体力を消耗していた。

 

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