【前回の記事を読む】社員を「純粋培養」する日本企業と異なり、外資系は必要とされる部分を伸ばしていくスペシャリストを求める。

3 私は会社で何をしたらいいか

会社のビジネスに疎い専門家社員の増加

一方このような専門家集団の組織には特有の問題があります。それは、自分が担当する分野については間違いなく第一級の仕事ができるけれども、会社全体を見渡して、組織全体として適切で効率的かつ効果的な仕事ができるかというと必ずしもそうではないことです。部分最適必ずしも全体最適ではないのです。

野球を例に取るならば、ピッチャーやキャッチャーなど9人の選手は、それぞれ自分のポジションについてはよく知っていて技術もすばらしいけれども、チームプレーとしての野球やゲームの運び方については、プロ野球選手であれば当然持っているはずの基本的な知識を誰も持ち合わせていないようなものです。

これを別の面から見ると、新卒で入社してその後の人事異動でいくつかの異なる分野を経験したような社員、いわゆるジェネラリストの減少です。そういった社員が少なくなり自分の専門分野のみに注意を払う社員が増えると、もう一つ別の問題が出てきます。

というのは、一般にほとんどの仕事は一つの部門で完結することはなく、全体的な仕事の流れのなかで、上流や下流の複数の部門が関係しています。そういった状況で、例えばある部門で仕事の内容に変更を加えて、効率をあげたり正確性を求めたりするためには、多くの場合関係する他部門の協力が必要です。

組織全体としての非効率な仕事のやり方、コンプライアンス上で改善すべき仕事のやり方などに気づいて改善に取り組めるのも、関係する他の部門の仕事の概要を知っているジェネラリストです。