ところが話を進めていくうちにとんでもない事態が巻き起こりました。通常アメリカでそうしているように、支払い能力を証明するための必要書類を提出し、一年間の家賃も前払いすることを条件で大家さんの中国人に話を進めてもらいました。
いざ申込書類を渡して契約する直前になって、家賃を突然年間五十万円ほど値上げしてきたのです。
そればかりか入居に当たっては通常一年分をまとめて入金するのが通例のところ、一年半分を前払いするように言ってきました。
私は青山さんと相談したところ「普通は無いことですが、チャイニーズのオーナーは時々こういう理不尽な要求をすることがあります」とのことでした。
私は、場所もいいしできれば生活の基盤となる居住地をできるだけ早く決めたいと思っていたので、よく考えた末条件をのむことにしました。
「その条件で構わないので話を進めて下さい」
とお願いしたところ、この客は条件をドンドン釣り上げてもすべてのむであろうと考えたのか、翌日になって、さらに家賃を年間二十万円値上げした上、入居に当たっては二年分を前払いするようにと条件を変更してきました。
「申し訳ないけどここはやめた方がいいと思います」と言ってくれました。
「今後生活していく上でも、家を解約する時でも、こんなオーナーさんでは何を言ってくるか分からないし、せっかく私たちが紹介した物件ならば、少しでも気持ちよく生活していただきたいので、私はお勧めしません」とはっきり言ってくれたので、私はこの物件を断ることにしました。
本連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。
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