【前回の記事を読む】姉は「みんなが私をボケとる言うとること、私はちゃんと知っとるでよ」と言う。私は姉がボケてもさほど辛くはなかった。なぜなら…
第四章 2015年(後)
11月22日(日)
マイナンバー
三分粥になったそうである。まだ点滴は取れていない。
本人は元気で、差し入れた本を読んでいた。
「明日から五分粥になる。全粥になったら退院やわ」と良子は言った。
今日、「マイナンバー」が届いた。
11月23日(月)
退院日決定
昼間、良子から会社にいる私の携帯に電話が入った。
「退院、26日」と言った。私は、良子の声に何となく元気のないのが気になった。
「分かった。7時前に行くから、詳しく聞くよ」そう私は言った。
7時前に病室を訪ねた。
「電話の声に元気がなかった。心配するやないか」
「病院で大きな声は出せないわよ」
それもそうだと私は思った。今日は五分粥で、明日からは全粥になる、と良子は言った。