サイレンの音と人々の喧騒、そんな中、原田は引きずられるように警察に連れていかれ、今村の体は線路から回収された。

今村のデジカメから原田はふたりを殺した殺人犯として逮捕され、そして、ホームにいた人の証言から、今村への殺人の疑いも浮上し裁判となった。

「うまくいったね、吉村くん」

「うん、ありがとう。みんなのお陰だよ」

吉村は自分が命を落とした線路の上で、多くの人影と話をしていた。吉村を含め体の透き通った人々は、みな電車に身を投じた人間だった。

「弱い人を死に追いやっておきながら、その張本人はのうのうと生きているなんて、そんな理不尽はもうたくさんだ!」

「そうだ! 僕たちは苦痛に耐えかねて死んでしまった。そのときも、今も、弱い人間かもしれないけど、ここで命を落としたみんなで力を合わせ極悪な人間に立ち向かえば、うまく復讐ができることが証明された!」

吉村および、その場にいる幽霊たちはうっすらとした笑いを浮かべながらうなずいた。

「さあ、今度は誰の復讐にする?」

「じゃあ、わたし!」

半年前にイジメを苦に身を投げた名門女子校の少女が手をあげた。その子の要望に、周囲の幽霊はそっとうなずき消えていった。

 

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