【前回の記事を読む】箱ティッシュから生まれてきたのは、僕好みの美少女だった……!
箱入り娘
「きみの名前は……えっと……えっと……よし、みかんにしよう! みかん!」
「み・か・ん?」
「そう! みかん! 黄色くて甘酸っぱくて、食べるとおいしいんだ!」
「食・べる……み・か・ん……」
「ああ、きみのことは食べないけどね」
目の前でにっこり笑う少女を見て、僕は心が洗われるようだった。そして、この少女を守らなければと思い、横に放り投げていたピンクの箱を手にして、もう一度丁寧に取説を読み返した。
『基本、箱入り娘ですので、できあがった娘には何もさせず、人形のように椅子や床に座らせ日々の会話をお楽しみになることをお勧めします。』
「……だよな」
僕は取説に従い少女をクッションに座らせ静かにそこにいるように言った。そして、そこに座っている少女みかんにいろいろと話しかけた。
「ご飯とか食べるの? お腹は空く?」
僕の言葉にみかんは首を横に振る。
「そっか。ご飯を食べないってことは、トイレには行かないってこと?」
この言葉にみかんはうなずく。
(ほんとに、お人形と同じなんだ……)
そう思いつつ、本物の女の子が少し苦手だった僕は、お人形のようにかわいい笑顔を向けてくれる少女みかんに癒され、彼女とのおしゃべりに時の経つのも忘れた。