ティッシュ少女みかんが来てから、僕の毎日はバラ色になった。大学やバイトが終わると友達の誘いをすべて断ってアパートに帰った。そして、食事をしながらみかんとしゃべり、テレビを見ながらみかんとしゃべり、そして彼女の手を握っては話をした。

どーでもいい話でも、どんなにくだらない話でも、みかんはニコニコと笑顔で僕の話を聞きながら、時々相槌を打ってくれる。僕の心の中は、彼女の笑顔一色になっていた。

心をウキウキさせ、毎日まっすぐアパートに帰る僕に、友達は「おまえカノジョができたのか?」と探りを入れてきた。そう言われると悪い気はしないが、友達にみかんのことを話したら、みんなが僕の部屋に押しかけ、みかんを壊しかねない。そんな危機感を持った僕は「うーん、どうかな」と適当にごまかして家路を急ぐことにしている。

そんな日々の中、部屋を歩いていたみかんが、時々窓から外を見ている姿を見て、あることを思いつき提案した。

「ねえ、外を歩いてみない? 公園に行ってみようよ」

みかんとの公園デートと思うと思わずニヤけてしまう僕だったが、そんな僕の前で彼女は首を横に振り言った。

「外には行きたくないです。知らない人も怖い……」

この言葉に僕はみかんの手を取って彼女を見つめた。

(お嬢様じゃん! 箱入り娘だもんな! いろいろと慣れるまでには時間がかかるんだ)

「よし、外に出るのは、まだ先にしような」

この僕の言葉に、みかんは小さく笑って応えた。

みかんが部屋に来て、今までと真逆のバラ色の毎日を過ごし三週間が経った頃、友達のひとりが僕に声をかけてきた。

「今日これから俺の部屋でAV大会やるんだけど、おまえも来いよ」

「AV大会って……」

「おまえの好きな白玉あずきちゃんの新作もあるぞ。タイトルは『美乳っ子シリーズ3 好きにできると思ったら大間違いよ!』ってやつ。どうする?」

「……行く」