【前回の記事を読む】「四の五の言ってないでスマホをよこせ!」そう詰め寄ってくる高校時代の同級生に思わず…
電車の走る場所
カバンを握りしめる原田に、今村はデジカメを覗き込んで言う。
「俺さ、普通に楽しい大学生活を送っていると思ってたんだけど、いつの間にか借金がものすごくなっちゃって、サラ金とかヤバいところからも借りるようになっちゃって……
で、困ってたら、幽霊の吉村ってヤツ……たぶん吉村の名前を騙ったどっかのヤツだと思うけど、そいつから原田が殺人計画を立てているから、その現場を撮って出版社に売り込めば金になるって連絡が入って。最初は担がれてるんだと思ったけど、まあ騙されたと思って指定された場所に行ってみようって軽い感じでね。ほら、俺はさ、金ないし、暇だから。
そしたら、本当におまえと田端が現れたから『おいおい、ほんとかよ』って陰からデジカメ作動させてたら……ビックリだったね。でも、原田はふたりも殺っちゃったし、俺はこれを出版社に持っていけば高く売れるし」
「ちょっと待ってくれよ」
やっと言葉を発することができた原田は、立ち上がって今村の腕をつかみ言った。
「俺たちは吉村にダマされているんだ」
「吉村って、幽霊の?」
「そうだ。あいつ俺たちのことを恨んでいて、復讐しようとしてるんだ」
原田の言い分に、今村は声を上げて笑った。