さすがに好きな女優の新作AVの誘いを断りきれなかった僕は、大学の帰り、友達の部屋に寄り道をすることに決めた。部屋にいるみかんのことは気になったが、彼女はいつも静かに座って僕を待っていてくれる。だから、今日は少し遅くなっても大丈夫だろう。

陽の高いうちから友達の部屋に5人が座り込み、ビールとおつまみを持ち寄って上映された数本のDVDは、僕ら若者のエロ心を満足させるものだった。特に、白玉あずきの『美乳っ子シリーズ』にはみんな大満足だった。

「やっぱり白玉あずきはいいっ!」

という結論に達し、男子の心のエロストーリーの話で盛り上がり、僕が部屋に帰る頃には日にちが変わろうとしていた。

「ただいまぁ」

ひとり住まいの部屋だが、みかんがいると思うと部屋の灯りをつけながら帰りのあいさつをする。すると明るくなった部屋の中で、みかんが微笑みながら「お帰りなさい」と出迎えてくれる。そんな彼女を僕は思わず抱きしめた。

「みかん~、おまえはかわいいなあ」

僕が少しぎゅっと抱きしめると、僕のやることをマネしてみかんも僕のことをぎゅっと抱きしめてくれる。みかんの体はとてもやわらかくて触り心地がいい。そしてほのかにいい香りがする。

(高級ティッシュだからかなぁ……)

友達のところでビールを飲んでいたことと、AVを立て続けに何本も見たことで、僕の頭の中ではみかんへの性的欲求が膨らんでいった。

「みかん……このワンピース……脱げる?」

本連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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