「みなさん、こんにちは。今回の同窓会を計画した3年B組の長谷部(はせべ)です。今日は参加してくれてアリガトウ!」
一部のテーブルだけ異常にテンションが高く、変なヤジを飛ばしている。おそらくB組の人たちだとイケちゃんたちは思った。幹事の長谷部が再び話し出す。
「今日の同窓会は来賓(らいひん)……つまり先生たちは呼んでいません。ですから卒業生だけです。それから余計な会費を徴収(ちょうしゅう)しないため、ビンゴ大会のようなイベントもありません。その代わりに、抽選で当たった人はマイクスタンドの前に立って約1分間の近況報告をしてもらいます。
受付でもらった番号札を確認してください。10分おきに抽選をします。番号を呼ばれた人はよろしくお願いします。では、最初の抽選会をやります!」
幹事が箱の中から三角くじのような紙を取り出し、中を確認して読み上げた。
「17番です。17番の方、マイクスタンドの前に立ってください!」
「俺だ! オレですよ」
そう言って、3年B組だった稲葉がマイクスタンドの前に立った。
「みんな、お久しぶり。生徒会長だった稲葉です。高校を卒業して10年……現在は二人の子を持つ父親です。子育ては大変です。ウチの奥さんは、もっと大変だと思います」
すると、さっきの騒がしかったテーブルから声がかかる。
「大変だとわかっているなら、私をもっと大切にしなさい!」
参加者たちが一斉にヤジを飛ばした女性を見る。すると稲葉がマイクに向かって言う。
「あの人が俺の奥さんです。皆さんの同級生だった3年B組の牧田さんです!」
会場の一部では盛り上がっているが、A組だったイケちゃんたちは特に関心がない。
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