第1灯目 ふたりの渚に恋の予感?
渥美(あつみ)半島には伊良湖(いらご)岬灯台。伊豆(いず)半島には石廊埼(いろうさき)灯台がある。さらに、瀬戸内海の離島の中にも貴重な灯台があるらしい。
ネット検索で地図や写真を見ていると、今すぐにでも行きたいという衝動(しょうどう)がわいてくる。自分たちの灯台めぐりは有名観光地とセットにすること……
それを改めて意識すると、灯台以外にも訪問したい場所が山ほどある。これ以上は頭の中が爆発しそうだと感じて、気分転換しようと買い物に出かけることした。
◇
イケちゃんは、普段と変わらない日々を送っていた。そんなある日のこと、高校時代の友人から電話があり、同窓会があると聞かされた。
「ねえ、同窓会とクラス会ってどう違うのよ?」
イケちゃんの問いかけに、友人の田中杏子(きょうこ)がめんどくさそうにこたえる。
「あのね、クラス会は同じクラスの人同士の集まり。同窓会は同じ学年の卒業生の集まり。クラス会じゃ人が集まらないからって言ってたよ」
「誰が言ってたの?」
「隣のクラスだった菊池さんよ。彼女は幹事(かんじ)の一人らしいわ」
「招待状みたいな案内は届いていないわよ」
「卒業して10年だから、電話連絡が可能だった人だけ呼ぶらしいの」
「変なやり方ね。私のところには杏子からしか連絡がきていないよ」
「クラスの代表が何人か集まってさ、連絡網みたいな感じで作ったらしいの」
「じゃあ、私から次の人に連絡するってことなの?」
「それでね、ちょっと確認したいんだけどさ……今から言う名前で電話番号を知っている人がいたら教えてくれないかな」
「いいよ。誰かな……」
「ナガヤマさん、タカギさん、フナダさん、オオヅチ君……以上よ。どうかな?」
「タカギさん……タマちゃんだけしかわからないよ」
「そうか、じゃあさ、同窓会の日時を言うからメモして」
「はい、いいよ。いつなの?」
「来月の第2日曜日の午後3時から……高校の体育館ね。去年改築して綺麗(きれい)になったらしいよ」
「えっ、学校の体育館でやるの?……よく許可が取れたね」
「幹事の中にさ、母校の教員になったヤツがいるんだってさ」
「なるほどね。ねえ、出席とか欠席の連絡ってどうするの?」
「いらないみたいよ。会費は1000円だって。立食パーティーみたいな感じらしい」
「つまり、気が向いたら来てよってことか……すごくアバウトなのね」
「ナギはタマちゃんにだけ連絡してちょうだい。日時と会費だけ伝えてね。自由参加だから気楽に来てねって言って……じゃあ、よろしく!」
「うん、わかった。私はなるべく参加するわ。じゃあね」