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来月になって、イケちゃんの同窓会の日となった。タマちゃんと高校の近くで待ち合わせをしてから、一緒に母校の正門に入った。正門から新しい体育館が見えたので近づくと、受付をしている所で杏子が手を振っている。
「ナギ、来てくれたんだ。タカギさんも一緒ね」
「うん。なんとなく来ちゃった!」
イケちゃんが照れたような表情をしていると……。
「私たち、カレシを見つけに来ました!」
タマちゃんが、とんでもないことを言い出したのでイケちゃんは焦った。
「えっ、ホントに?」
杏子が目を丸くしている。
「冗談に決まってるじゃないの……杏子、本気にしないでよ。あっ、ちょっとタマちゃん。恥ずかしいからやめてよね」
「ナギちゃん、ズルイよ。あなただってさ、その気があるから素敵なお洋服を着てきたんでしょ。せっかくオシャレしてきたのよ……素直になって」
タマちゃんの言葉を聞いて、杏子がイケちゃんに小声でささやく。
「あのね、幹事の中にさ、ナギに会いたがっている人がいるらしいよ」
「何言ってるの、ウソでしょ?」
イケちゃんは真顔になって驚いている。
「あら、ナギちゃん、良かったじゃない。これはチャンスかもよ」
聞き耳を立てていたタマちゃんからのリアル発言に、イケちゃんの頬は少しだけ紅潮(こうちょう)している。
体育館の中に入ると、特設のテーブルが並べられていた。すでに30人くらいが集まっていて歓談(かんだん)中の様子。イケちゃんたちは、ドリンクコーナーでソフトドリンクを手にした。
定刻の午後3時になる頃には、50人以上も参加者が集まっていた。マイクスタンドの前に幹事が立ち同窓会の開始を告げると、大きな拍手が起こった。