その海岸の東端にはスフィンクスのような形をした高さ五、六メートルの大きな岩がある。その横に幅十メートル、高さが三メートルくらいの岩礁があり、高波が押し寄せてきた時には岩の上から滝のように水が落ちてくる。

また、高い波が岩に当たると水が噴水のように岩の穴から噴き出す光景も見ることができる。この予測のつかないタイミングで現れる珍しい光景を見ていると、つい時間が経つのを忘れてしまう。

その後、さらに東に行ったところにあるバニュ・ティボという海岸に来た。海岸段丘になっていて、その高台から望むインド洋の景色は、岩壁にぶつかる波の音と相まって雄大で感動的である。訪れた時、右下に広がる岩礁で竹製の円錐形の日除け帽を被り釣りをしている人がいた。波の緊張感とのんびりした釣り人の光景が対照的である。

インド洋に向かって左下には幅二十メートルほどの小さな砂浜がある。そこに十メートルの高さから勢いよく湧き出た水が滝のように落ちていて、五、六人の若い男女が滝の下で大声で騒ぎながら水浴びをしている。

ジャワ島の南海岸は海岸沿いに走る道路が整備されておらず、東西の移動は一度内陸の中核都市に戻ってそこから放射状に延びた道路を走るしかない。また、これらの海岸へアクセスするための公共交通機関はほとんどないうえ、多くの道路は狭くてガードレールもなく舗装されていない。

これらの観光地へのアクセスが改善されれば、インドネシアの観光産業は飛躍的に発展するであろうが、逆に現在のような自然の美しさや素朴さは失われるかもしれない。

ジャワ島の南岸クラヤール海岸の瀑布

 

次回更新は3月30日(日)、8時の予定です。

 

【イチオシ記事】何故、妹の夫に体を許してしまったのだろう。もう誰のことも好きになれないはずの私は、ただあなたとの日々を想って…

【注目記事】娘の葬儀代は1円も払わない、と宣言する元夫。それに加え、娘が生前に一生懸命貯めた命のお金を相続させろと言ってきて...

【人気記事】銀行員の夫は給料五十万円のうち生活費を八万円しか渡してくれずついに…