翌朝、予定より一時間以上遅れて出発した我々は、田畑の広がる田舎道を疾走し、プラウ・メラを目指した。プラウ・メラの砂浜は広大な弓型になっていて、砂はさらさらで裸足で歩くと気持ちが良い。海水は完全に透明である。
波打ち際ではジルバブを被りTシャツを着た女性たちが話をしながら散歩をし、その横をサーフボードを抱えた男たちが通り過ぎてゆく。ここは二〇一三年に世界サーフィンのチャンピオンシップも行われ、サーファーの間では有名な海岸だそうである。真っ青な海の沖から白い波が一直線になって音を立てて近づいてくる様を見ていると、確かにサーファーはじっとしていられないであろう。
その年の八月、やはり、シティの誘いで、今度はスラバヤから西にある中部ジャワ方面のジャワ島南海岸を巡った。
今回、同乗してきたのは黒いジルバブを被った、幼稚園で英語を教えているという少し変わった女性である。日本人に敵愾心を持っているのか、道中、「日系企業を乗っ取ってやる」と英語で呟いていた。
我々を乗せたミニバンはオレンジ色の街路灯が光る真夜中の国道を快走し、夜明け前にポノロゴという田舎町にある大きなモスクの駐車場に到着した。ここでしばらく休憩をするとのことである。
アザーンが鳴り響く中、私以外の同乗者は夜明け前のお祈りのためライトアップされたモスクの中に入っていった。うっすらと空が白んで、モスクの全体像が浮かび上がってくるころ、ミニバンは再び朝もやの立ち込めるジャワの田園地帯を走り出した。
クラヤール海岸は白く柔らかい砂浜が延々と続く大きな海岸で、海水は完全に透明である。いかにも南国らしいのんびりとした雰囲気の美しい海岸であるが、やはり波が高い。