2013年1月26日(土)
債務者(その3)

時の経つのが早すぎる。一週間と思ったら一月、一月と思ったら一年である。

前回のメモからはや半年である。

娘に残るもう一つの記憶を書いておく。

こっちの方は、私にはまったく記憶がない。

駅、というからおそらくY駅と思う。改札口が渋滞で人が動かない。

見ると一人の男が改札で、駅員に大声を出している。

その頃は乗車切符に駅員がハサミを入れ、降車時には回収、定期券は目視確認していた。 つまり改札には駅員が立っていたのである。

乗客の通路を塞いで、男は駅員に文句を言っていた。

「お父さんがすうっとそこへ行って、男の前に立ち、2本の指で男の額を突いた。男は静かになった。」

2本の指というからには人差し指と中指であろう。

相手に、肉体的打撃は与え得ない。

私はまったく覚えていないが、娘が夢を見た訳でもなかろう。

私は、手出ししない(手出しできない)相手に居丈高な人間を好まない。駅員がその男に反撃するなら、駅員は自分の将来を賭ける覚悟を必要としただろう。だから黙って怒鳴られている。つい味方したくなるのは、私の血である。

4月4日(木)
イレッサ

肺がん治療薬「イレッサ」使用に関する“薬害訴訟”で、最高裁は国並びに製薬会社の責任を否定、原告敗訴が確定した、そうである。

私は「イレッサ」の名も、そうした訴訟のあることも知っていたが、正確な内容は知らない。

「イレッサ」についての私の理解は次のようなものである。

「末期の肺がん患者に“劇的に”効く。但し副作用の確率も高く、その場合患者は速やかに死に至る。」

私にとっては理想的なクスリである。

私が末期肺がんにあって選択を求められたら、一瞬の躊躇もなく、イレッサを選ぶ。

因みに昨4月3日産経新聞の

【用語解説】イレッサ

によれば、

「(前略)昨年は新たに約7,500人が投与を受けた。だが、厚生労働省によると、間質性肺炎などの副作用で昨年末までに862人の死亡例が報告されている。」

とある。

“昨年だけ”で7,500人が治療を受けている。

昨年末“迄”に862人が副作用で死んでいる。

こういう文章も実は分かりにくいんだよね。わざと分かりにくくしているのだろうが。

累計で何人が治療を受けたのか。

薬害死したとされる862人も、イレッサ治療を受けなければ生き続けた可能性があったのか。

どっちにせよ私がその状況に至れば、「イレッサ」を選択する。