出所後
裁判所を出ると眩しいくらいの太陽の光。そして満面の笑みで迎えてくれた母。ニヤニヤしながら車を指さしている。車を乗り替えていたのだ。軽四自動車だが新車を買っていた。勝也はびっくりしたが嬉しそうな母を見て勝也も嬉しくなった。
母は勝也の逮捕後から不安になったのか、前に喫茶店で一緒に働いていた人の経営しているスナックで働かせてもらっていたので車を乗り換えたのだろう。
勝也はその車に乗り込むや否や、母にケンタッキーフライドチキンに行きたいとお願いした。過酷な労働でさらにかなりの大食いになっていたので、鑑別所の中では食べ物の事ばかり考えていたのだ。出所したらそのままケンタッキーフライドチキンと決めていた。
勝也は当時2千円くらいしていた大きなパーティーBOXを注文し、母の新車の中でむしゃぶりつき、一気食い。手は油まみれ、食べかすもポロポロこぼしていたが、母は怒るどころか、勝也の食いっぷりに驚いたようで、笑いながら勝也を見ていた。
「早く家に帰りたい。早く紗香に会いたい」
マンションに着くと紗香は待ってくれていた。紗香は勝也の顔を見た瞬間泣き出した。
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