【前回の記事を読む】喧嘩やタバコ、シンナーに窃盗などやりたい放題の学生生活。それでも就職するが、上司にオレンジジュースをかけられ転職を決意。

生立ち

その後同級生の友達の父親に相談し、紹介してもらった高収入の仕事に就いたが、朝が早く重労働の、かなり過酷な仕事だった。ただ、昼頃には終わり、福利厚生もしっかりしており、月収は手取りで30万円を軽く超えていた。

勝也と一緒に働いていた人達は酒飲みばかりで、当時勝也は16歳だったが、毎日仕事帰りには立飲み酒屋、夜にはスナックへ連れていかれていた。

そんなある日、スナックで職場の先輩と喧嘩になり、仕事を辞めざるを得なくなり、退職する事になった。

勝也が以前から時々通っていたお好み焼き屋があり、そのお店のご主人も同じような仕事をしていたので、相談に行くと「明日からでも来い」と言ってくれた。同じ職種でも、以前の職場よりもっともっと過酷な仕事で、労働時間は長く休憩も福利厚生もない。毎日、全身が筋肉痛になる。

その筋肉痛に慣れてくると、肘の関節や股関節、そして腰に激痛が走る程で、マッサージやシップ薬を貼り寝るようにしていたが、時には痛みで目が覚めるほどだった。

しかし、良い時には軽く50万円以上も稼げた。毎月、家にも10万円以上入れる事ができるようになり、弓子も「いつもすまんな、助かるわ」と喜んでくれ、金銭面では少し生活が楽になった。

こうしてやっと順調に行き始めた矢先、友達から連絡が入る。まだ庭職人の見習いだった頃に、よく一緒にバイクで走り回っていた友人だ。

なんと、当時数台で街の中を暴走した件で警察から連絡が入るという。1年以上前の事だったので少し驚いたものの、大した事にはならないだろうと安易に考えていたが、その時一緒にバイクで暴走した友達が次々とみんな逮捕され、少年鑑別所に収監されており、勝也にも刑事から「○日○曜日の午前7時に迎えに行く」と連絡が入る。

多人数で暴走していたので他の地区の友達、そして勝也と同じ中学の同級生が捕まった後、勝也は最後の逮捕者になった。勿論、取り調べも証拠も先に逮捕された連中から聴取しているので言い訳などできない。