10月14日。期待して迎えた朝だ。

「はじめまして。検察官の只野夏海(ただのなつみ)です」

「はじめまして。今岡蒼斗です。よろしくお願いします」

一緒に謎を解明していこう、そんな気持ちで臨む。

「警察が作成した調書を基に話をさせていただきますね。書かれている様子より、今岡さんはとても友好的ですね」

「ありがとうございます」

自分でもハキハキと話している。

「それでは本題になります。動機を教えてもらえないでしょうか?」

「いや、それは誤解です。俺を通報したのは泉直弥だと思います。直弥は勘違いしています。直弥の位置から現場検証していただくことはできないでしょうか?」

胸を張って言った。

「いいですか? 私の質問に答えてください。なぜ有希さんを突き落としたのでしょうか?」

俺の心は、またしても「現実」という実態のない壁に押し潰された。

 

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