5 出雲八重垣

二人は、みくさの爺の話の面白さに引き込まれてしっかり聞いていた。大王家に伝わる三種の神器の話を聞いて、大昔の神々の時代に思いを馳せるとともに、今に伝わる古代の宝を自分たちが守っていかなければと思うのであった。

小碓は大王家に伝わる宝の話や、神々の話、そして自分がなすべきことを滔々と語る爺の話に、まだまだこの続きがあるように思われた。「小碓様、まだ話は始まったばかりです。この後も大事な話がたくさんあります。でもこのたびはこのくらいにしておきましょう。またお会いしてお話をすることがあるやもしれません。

でもこれらの話の続きを作っていくのは、他の誰でもありません。あなた様なのです。あなたこそこの伝説に彩られた大王家の歴史の主役となるのです。私にはそれがうっすらと見えているのです。私も若ければ、その勇ましい姿を見ることができたのだろうが」

みくさの爺が続けた

「最後に須佐之男命はこののち出雲の国に迎えられ、嫁にした奇稲田姫と住まわれる場所を探しました。

『われこの地にきて、心がすがすがしい』

ある場所に着かれた時、そう仰せられた。それからは今もこの地を『須賀(すが)』と言うようになったそうだ。

  

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