そう鳥谷は静かに告げると、三好和希に銃口を向けた。三好は片手を上げると、ぎょっとした表情をした。三好と鳥谷は睨み合い、少しの間時間が止まっていた。降り頻る猛烈な雨の音だけが散弾銃のように鳴り響いている。

「久原真波さんを拉致監禁した後に殺害し、死体遺棄したのはお前だな。三好和希巡査」

「鳥谷さん、ちょっと待ってくださいよ。僕が清水さんの車に細工をして久原さんを監禁し殺したっていうのですか」

三好の胸の奥で何かが崩れ落ちる音がした。

「お前は清水の相棒だった」

「それだけで犯人にされたら困りますよ。そもそもなぜ清水さんにそんなことをする必要があるのですか。私と清水さんは同じ車に乗るのですよ。細工なんてしたら僕の命も危ういですよね。僕が普段運転もしますし」

深瀬が一枚の紙を取り出すと三好に向けた。

「鳥谷さんに言われてあなたの車両のドライブレコーダーの記録を調べました。九月三十日、あなたの車両が藤山で停車したことは確認しています。公私共に仲の良かった相棒の清水さんをなぜ殺そうとしたのですか」

「三好、なぜこの藤山だった？　お前は時折、この藤湖トンネルを超えていた。この先に何がある？　誰かに会っていたのか」

鳥谷は静かに訊いた。

【前回の記事を読む】司法解剖の結果、遺体の最後の食事は36時間前。失踪した女性は3か月もの間監禁され、そして昨日殺害された？

次回更新は2月26日（水）、21時の予定です。

　

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