「それって言霊みたいなことですか。ネガティブな言葉を避けて悪い運気を遠ざけるみたいな」
「まあそんなところだ」
そういうと鳥谷はにやりと表情を変えた。
「俺はあなたのことを尊敬していましたけど、そんなオカルトじみた第六感みたいなものを、本気で信じているなんて見損ないましたよ。俺はあなたの刑事としての捜査力を」
「いいか、深瀬。世の中には科学や理屈では説明できないことがある。時として目に見えない不可思議なものに力を借りる時がくるかもしれない。そんな時、お前はどうする?」
「俺はそんなこと信じませんよ。現実に起きていることが全てですから。そこまで言うなら今日のその新聞には何が書かれているのですか」と深瀬は鳥谷の持っていた新聞を取り上げる。
「一面は、『東京お台場にある老舗遊園地ドリームランドに日本最大級の巨大観覧車建設が着工』ですか。技術を結集した展望型の」
「深瀬、そのドリームランドの運営元を知っているか?」
「ええ、確か帝国不動産ですよね。国内最大手のデベロッパーで、海外でも数々の事業や投資活動を手がけている日本屈指の巨大企業です」