見知らぬ若者に釘づけになった。不思議な力に吸い寄せられるように歩み寄り、射るように見つめた。若者は、眉一つ動かさなかった。
プリマドンナ・デル・モンド
【第1回】
稲邊 富実代
イザベラ・デステ 生誕550年に捧ぐ
世界に愛された侯妃の肖像
レオナルド・ダ・ヴィンチが生涯憧れ続けた“永遠の女性”。その秘密がいま明かされる――！戦乱の続く15世紀、小国マントヴァの侯妃として政治・外交に優れた手腕を発揮し、イタリア・ルネサンスの芸術隆盛を支えたイザベラ・デステ。その裏で、夫と家族を愛し、理不尽な運命に翻弄され傷つきながらも、身命を賭して国を守り抜いた、一人の女性としての素顔を情感豊かに描きだす。※本記事は、稲邊 富実代 氏の小説『プリマドンナ・デル・モンド』（幻冬舎ルネッサンス）より、一部抜粋・編集したものです。
【主な登場人物】
イザベラ・デステ………主人公 フェラーラ公爵夫妻の第一子
イザベラの父 ………エルコレ一世（フェラーラ公爵）
イザベラの母………エレオノーラ（フェラーラ公妃、ナポリの王女）
イザベラの妹……… ベアトリーチェ（次女、第二子 後のミラノ公妃）
イザベラの弟たち ………
アルフォンソ（長男、第三子 後のフェラーラ公爵）
フェランテ（次男、第四子）
イポリート（三男、第五子）
シジスモンド（四男、第六子）
イザベラの従弟たち ………
ジョヴァンニ（イザベラより1歳下）
ステファノ（1歳下）
ルチオ（2歳下）
エンリーコ（2歳下）
フランチェスコ・ゴンザーガ ………イザベラの婚約者 マントヴァ侯爵
ルドヴィコ・スフォルツァ………ベアトリーチェの婚約者 後のミラノ公爵
