【前回記事を読む】もう彼は帰っただろう、と思って振り返った。その途端、無言でこちらを見つめている彼と目が合い、慌てて本に目を落としたが…聖ジョルジョ祭の前日、モデナの叔母が2年ぶりにやって来た。「まあ、ちょっと見ないうちにすっかり大きくなって。明日は案内してちょうだいね」叔母にそう言われてイザベラはほっとした。毎年聖ジョルジョ祭には母や妹のベアトリーチェと一緒に行くのだったが、そうすると必ず従姉…
[連載]プリマドンナ・デル・モンド
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小説『プリマドンナ・デル・モンド』【第4回】稲邊 富実代
純白のレースの服に身を包んだイザベラは、目の覚める様な美しさであった
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小説『プリマドンナ・デル・モンド』【第3回】稲邊 富実代
もう彼は帰っただろう、と思って振り返った。その途端、無言でこちらを見つめている彼と目が合い、慌てて本に目を落としたが…
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小説『プリマドンナ・デル・モンド』【第2回】稲邊 富実代
えっ? 息が止まるほど驚いた。今日のあの不思議な御方が私の婚約者だったなんて…私に声もかけて下さらなかった。
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小説『プリマドンナ・デル・モンド』【新連載】稲邊 富実代
見知らぬ若者に釘づけになった。不思議な力に吸い寄せられるように歩み寄り、射るように見つめた。若者は、眉一つ動かさなかった。