第1章 くしろ子ども未来塾

子ども未来塾を我が街にも

人の顔が見えることが大きな要因になっているかもしれません。それは、「どんなことをしている人か?」が見えることでもあり、その人に対する安心感が「一緒にやってもいい」に繋がるのではないでしょうか?

ビジネスで築き上げてきた信用の重さ。加えて、経験から得た知識などすべてが宝になっているのです。それは数日で築かれるものではなく、長い年月をかけて培われたものです。釧路で知り得た多くの人たち、多くの経験は、私の大切な財産となっています。

子どもたちに多くのことを経験してほしいと願うのは、私自身が経験からいかに多くのことを学べたかを実感しているからなのです。その多くが社会で逞しく生きる力となっていることは間違いありません。

熱意は人を動かす

私は様々なイベントを企画してきました。地方都市では不可能と言われる海外オーケストラを招請(しょうせい)してのコンサートや有名アーティストと地元の音楽愛好家とのコラボレーション、その他所属団体での活動など、

誰も成し得たことがなく、前例のないことに挑戦することが好きで、傍目(はため)には無謀と思われがちな行動をとってきました。

応援してくれる仲間がいたことが成功の要因だったと思いますが、私の心の中には企業人としての魂が潜んでいたのか、トップが一生懸命さを忘れなければ結果はついてくるという変な自信があり、いつも心に言い聞かせていたのは、やり遂げるのだという熱い気持ちを持ち続けることでした。

くしろ子ども未来塾もそうでした。初め、私の構想はなかなか理解を得られず、説明された人も頭の上にたくさんの疑問符がついたようです。「上手くいくわけがない。年齢差のある子どもたちをどうやって指導するのだ?」「教育関係者でもないのに何を大それた」等々、厳しい言葉もいただきました。

ですが、それで諦める私ではありません。難しいことは考えず、子どもたちが楽しく過ごしながら体験できたらそれでいい。

頭の中に描いていた思いが形になり、会場には満面の笑みを浮かべた子どもたちが並び、彼らを見つめる親御さんたちや教える先生たちの笑顔が溢れていました。

その優しさと温かさに包まれた空間を見た新聞記者の方が、私に向かって「熱意は人を動かす! ですね」と言ってくださったのです。

そうなのです。どんな時も自分がやろうと思ったことについては、マイナス要因は一切考えない。できると信じてやり遂げるのみ! 但し、無計画ではありません。見えないところで緻密な準備は怠らずです。

「まずはやってみましょう!」「やってみて、駄目なら修正してやり直せばいいのでは?」と、半ば説得するような形で賛同を得るのですが、それだけに私自身の責任は重くなると受け止めています。