はじめに

日本には「十人十色」という諺があります。諺の意味は、人の顔がそれぞれ違うように人の考え方や生き方に違いがある事を言っていますが、同時に色々ある人の生き方に干渉する事を諫める内容にもなっています。

人の生き方は千差万別ありますが、一方で私たちは皆と共同、協力し合って生きています。それ故諺が人との違いをアレ、コレと干渉する事を諫める内容になっている事に道理があり、諺が日本人の生きる糧になっている事を物語っています。

一方欧米は多様性があり、個人を尊重する社会である事からその分十人十色的な類の諺が、多くあると思い探してみました。ところが意外な事に欧米では人の生き方を諭す故事や諺のような類のものが少ない社会となっています。

日本で諺が多く、欧米で逆に諺に類するものが少ない現象を追い求めてみると、日本には人の生き方を導いたり規定する宗教的なものが存在せず、逆に欧米は創造主、そして唯一絶対神の神を信仰する社会である事に突き当たります。

国や民族にはそれぞれ地域毎に地政学条件が作用しており、これを受けそれぞれの国には固有の歴史があり、文化が存在しています。

歴史はその国で古くから続いている事から難しい感じがありますが、資料等で残す事が出来る事から、時代を経ても私たちは昔の歴史を理解し、学ぶ事が可能になります。

一方文化は、歴史に比べると人々のいまの生活に入り込んでいる事から、身近な存在になります。だが、文化は歴史や宗教、そして人の考えや生活等の諸々のものが入り込んでいる事から、身近な割に多様性があり、一口で説明するのが難しい処があります。

私たち日本人は、多様性がある文化の中で生きており、人は楽しみ、悩み乍らこの世を生きています。これを受け、諺が私たちの生きる糧になっており、日本に多くの諺が存在する事に繋がっています。

いまの世界の状況を述べてみますと宗教はユダヤ教とキリスト教、そしてイスラム数の三大宗教が存在しており、一方で世界は、190カ国以上の国々が存在し、多様性のある国々のオンパレードみたいな処があります。

三大宗教と多様化する世界、そしてグローバル社会。三つが上手く折り合い作動すれば世界は無難な社会になります。三つが上手く作動しないと世界が混乱する基になりますが、いまの世界は後者の混乱する世界となっています。