1975年3月/東大受験のとき・合格発表のとき 

実が東大を受験したこの時期には、忘れられない出来事が3つあった。

1つ目は日本経済新聞夕刊に掲載された写真だ。これは、実が東京大学の二次試験を受ける際に、受験票を取り出そうとしながら正門に向かっているときの写真である。

受験会場に早く行くことに集中していたため正門の係官の人しか目に入らず、写真を撮られていることにはまったく気がつかなかった。この記事には「国立大学一期校入試始まる 5・2倍 いざ出陣」というタイトルが付けられ、昭和50年3月3日の日本経済新聞夕刊に掲載された。

実家で最初に気づいたのは姉だったらしく、家中で大騒ぎになったとのこと。すぐに新聞社に電話して写真の入手をお願いしようかという話も出たが、不合格だったら格好が悪いということで、3月20日の合格発表待ちとなったようだ。ただ、これで家族全員の気持ちは「絶対合格間違いなし!」という雰囲気になってしまったと、あとで姉から聞いた。合格で本当によかった。

続いて、2つ目は合格発表当日の3月20日の出来事だ。これは兄が最初に気がついた。実家の庭の小さな池に1羽の「白い鷺」が舞い降りたようで、これは絶対によい知らせだと確信したそうだ。あとにも先にも、鷺が庭に舞い降りたのはこれ1回きりである。

20日は、掲示板で合格を確認後、すぐに実家に公衆電話から電話した。最初に姉が出たので「実だけど、合格したよ!」と言うと、姉は、居間で遅い昼食をとっていた母に向かって「合格したって!」と大声で叫んだ。遠くに「受かった?」という母のかなり上ずった声が電話越しに聞こえた。 

  

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